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CYDボード ふたたび(Ⅰ)

Cheap Yellow Display (CYD)ボード(ESP32-2432S028R、ILI9341搭載 2.8インチ)を使用してソフトウェア開発を行うための、ボード上の主要デバイスとそのESP32とのピン接続一覧を作成します。

この一覧表は、プログラム開発におけるピン競合を避け、未使用のGPIOを外部モジュールに利用するために不可欠です。


 

CYDボードのピン接続一覧(ESP32-2432S028R)

 

CYDボードは、ESP32の多くのGPIOを内部デバイスに割り当てています。以下の表で、使用済みピンユーザー解放ピンを明確に区別します。

 

1. 内部回路に使用されているピン(使用禁止/注意)

 

バイス ピンの役割 ESP32 GPIO 備考
ディスプレイ (ILI9341) DC (データ/コマンド) GPIO 2 SPI通信
  MOSI (データ) GPIO 13 SPI通信 (HSPI)
  SCK (クロック) GPIO 14 SPI通信 (HSPI)
  CS (チップセレクト) GPIO 15 SPI通信 (HSPI)
  MISO (データ出力) GPIO 12 SPI通信 (HSPI)
  バックライト制御 GPIO 21 PWM制御。通常はON/OFFに使用。
タッチスクリーン (XPT2046) IRQ (割り込み) GPIO 36 タッチイベント検出に使用。
  CS (チップセレクト) GPIO 33  
  MOSI (データ入力) GPIO 32  
  CLK (クロック) GPIO 25 DAC2ピンと兼用の可能性あり(モデルによる)。
  MISO (データ出力) GPIO 39  
MicroSDカード CS (チップセレクト) GPIO 5 SPI通信
  MOSI GPIO 23 SPI通信 (VSPI)
  SCK GPIO 18 SPI通信 (VSPI)
  MISO GPIO 19 SPI通信 (VSPI)
オーディオ スピーカー出力 GPIO 26 DAC1ピン。音声出力に使用。
オンボードセンサー・LED LDR (光センサー) GPIO 34 アナログ入力。環境光の測定。
  RGB LED - 赤 GPIO 4  
  RGB LED - 緑 GPIO 16  
  RGB LED - 青 GPIO 17  
その他 ブートボタン GPIO 0 起動モード切り替え。

 

2. ユーザーに解放されているGPIOピン(空きポート)

 

以下のピンは、拡張コネクタ(P3やCN1など)を通じて外部モジュール(センサー、マイクなど)の接続に利用できます。

ピンの役割 ESP32 GPIO 備考
アナログ入力/汎用 GPIO 35 拡張コネクタに配置。ADC1_CH3。
I2C SCL/汎用 GPIO 22 拡張コネクタに配置。I2C通信に最適。
I2C SDA/汎用 GPIO 27 拡張コネクタに配置。ただし、一部モデルでタッチIRQと競合の可能性あり。

💡 推奨事項:

  • I2Cデバイスを接続する場合、GPIO 22 (SCL)GPIO 27 (SDA) のペアを使用します。

  • アナログマイク(例: SparkFun ICS-40180)を接続する場合、GPIO 35 をADC入力として使用します。

  • デジタルマイク(I2S/PDM)を使用する場合、GPIO 22GPIO 35をCLK/DATAとして割り当て、ソフトウェアでI2Sのピン設定を行います。


 

主要デバイスの解説

 

 

1. ディスプレイドライバー:ILI9341

 

  • 機能: 2.8インチTFT LCD (240x320) の制御を担当するチップです。

  • 接続: SPIプロトコル(高速シリアル通信)でESP32と通信し、グラフィックデータを高速で転送します。ピンの多くはディスプレイに占有されています。

 

2. タッチコントローラー:XPT2046

 

  • 機能: 抵抗膜式タッチスクリーンの座標を読み取るチップです。

  • 接続: ディスプレイとは別のSPIプロトコルで通信します。IRQピン(GPIO 36)は、画面がタッチされたときにESP32に割り込み信号を送り、迅速な応答を可能にします。

 

3. ESP32-WROOM-32

 

  • 特徴: デュアルコアCPU、Wi-FiBluetoothを統合したシステムオンチップ(SoC)です。

  • I2S/PDMサポート: 音声処理に必要なI2S/PDMインターフェースを内蔵しているため、空きGPIOピンを割り当てることでマイクやスピーカーのデジタル接続が可能です。